散歩道<5001>
経済気象台<718>・貿易立国の終幕
ある程度の年配の日本人であれば、中・高校時代の社会の教科書には必ず貿易立国の記述があったことを覚えているであろう。
日本は狭い国土に人口が稠密(ちょうみつ)であるうえに、資源がない。石油をはじめ主要な鉱産物、原材料などの大部分は、海外から輸入する必要がある。となるとその代金は、自分たちで作り出す製品を海外に輸出して稼ぎ出さねばならない。
そのために日本人の勤勉さ、高い生産性や技術などが支えになっていろと説明されていた。このような記述が、いまや懐かしく思い出される。
海外との貿易によって日本という国の生計を立てる。いわばこれが貿易立国であり、日本の柱であった。ところが今年の1月の国際収支の統計によると貿易収支は赤字に転落し、過去最大の1兆3816億円に上がった。
円高の定着などを背景に企業の生産拠点の海外移転に歯止めがかからない以上、輸出額が輸入額が上回る貿易赤字の傾向が強まってきたと見られる。
この貿易赤字派構造的なものなのか。いうまでもなく日本の将来を見通すうえで、重大な懸念材料である。これが構造的なものであることをうらづけるように、家電や半導体などの国際競争力の急速な衰えをみせている。さらに、原発停止に伴う火力発電のための原油、液化天然ガス(LNG)などの輸入増など憂慮すべき現象が続出している。
かっての日本のお家芸であったモノ作りで稼げなくなった後の心配も現実もを帯びてきた。この状態が続けば、経済収支の赤字が低下し、貯蓄が減って国債消化に重大な影響が出てこよう。貿易立国の陰りは、否定すべくもない。 '12.3.22.朝日新聞
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備考:ただ生産コストが安いというだけで、工場の海外移転は将来の日本の雇用面のマイナスの多大な影響を与えそうで心配である。'17.4.