散歩道<4997>
 
                           経済気象台(714)・グリーンはブル

 米国で運転免許を取得した時の話である。交通信号のグリーンをブルーと言って「君はカラーブラインド(色感異常)か」と聞かれたことがある。そのグリーンをブルーと呼ぶ日本人は私だけではない。2、3人の友人も、ことごとくブルーであったから、米国流に言えば日本人は皆カラーブラインドということになる。
 ウィーンの森の中の小さなホテルで、ささやかな国際会議が開かれた時のことだ。夜も更けて会議の結論もまとまったので、一同そろって近くの湖に泳ぎに行くことになった。すでに月は落ちて満天に薄い雲がかかり、辺りは暗闇である。我々は1列に並んで手探りでそろそろ歩く。欧米の連中は、どんどん歩いて行き、遅れに遅れる日本の連中を怪訝
(けげん)そうに待っていてて「どうした? 日本人はみんな鳥目か」と言われた。
 この二つの例からも、どうも我々とは表現方法や行動で、かなり異なるところがあるようだ。この違いは、幸いなことに日常の行動に困難をきたす類のものではない。グリーンであろうが、ブルーであろうが、「ゴーサイン」であることは万国の了解事項である。
 その昔、米国に住んでいた頃、我が家の子供たちが着ていた日本製のTシャツに描かれた犬が「one
(ワン) one」と吠(ほ)えている姿を見て、「日本では犬はひとつ、ひとつと啼(な)くのか」と感心させられたことがある。このような具体的事項は話せばわかることで問題ないが、先に述べた受け止め方に関することは、それぞれが当然とする前提が違うわけで、期せずして一致することはまずない。どうも最近の国際紛争をみると、このような言葉以前の誤解がその底にあるように感じられる。   '12.2.16.朝日新聞

関連記事:散歩道<検>経済気象台<検>外国、<検>動物
備考:最近のTV番組で外国人が日本の文化について、素敵だと言う意味で使う言葉はCOOL(クール)である、このようなニューアンスでCOOLは多くの日本人は使い慣れてこなかった為、なにかしっくりしない感じがのこる。