散歩道<4996> 

                              経済気象台(713)・貿易赤字を脱却するには

 昨年の貿易収支は1980年以来初めての赤字に転落した。
 31年前と言えば第2次石油危機のときであッたが、直後に欧米への集中豪雨的な輸出で再び黒字を回復した。その後、貿易摩擦、円高へと日本系ザイが突き進んでいった。はたして、今回の赤字転落も一時的なものにとどまるのだろうか。
 今回の赤字の特徴として、東日本大震災で企業のサプライチェーンが途切れ、輸出産業の生産が停滞したことが挙げられる。欧州財政危機や、米国の金融緩和を背景に円相場の高止まりも輸出を停滞させ、ずれも貿易赤字の要因になった。ただ、国に国内生産体制はほぼ復旧しているので、為替が政情な水準に復帰すれば赤字は解消していくとの見方もある。
 しかし、中小企業の生産拠点でさえ海外展開が急速に進んでいるのはおの円高定着を中長期的なものと見立てているからに違いない。そうなると日本産業の空洞化はどんどん進行していき、貿易赤字の定着と拡大は必然的なものとなる。赤字からの脱却は、かっての集中豪雨的な輸出と派異なる政策を打ち出せるかどうかに大きく依存している。
 空洞化問題を考える際には、日本の工作機械業界が一つのヒントとなる。日本で生産する工作機械は、低下傾向とはいえ、世界の20%を締める。海外生産も進んでいるが、この円高でも70%の輸出比率だ。価格ではなく、性能やサービスなどの面で優位があるからだ。購入時には高いが、結局は経済的であるという評価を確立し、価格競争の回避駕できている。
 素材など他にも存在するこの種の産業をさらに、育成、強化できれば、貿易赤字定着とはならないものと考える。


'12.2.11.朝日新聞

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