散歩道<4995>  
                         経済気象台(711)・大化けする海外駐在員

 中小企業白書(2010年版)によると、中小企業の場合、海外展開をしている工場ほど国内の生産性が伸びている、コレはなぜなのか。
 白書は、海外に出ている中小企業ほど、自社の事業を推し進めようとする意欲が高いことを挙げている。また、海外からの収入などで研究開発が進むことや、日本ではハードルが高い企業でも新規の取引ができる場合があり、それが国内に還流することなどを指摘している。
 しかし、一番大きいのは人の成長が著しいことではないか。当たり前のことだが、付加価値を作り出すのは人間である。
 成長とは、新しい経験をして、新しいことを覚えることだ。海外にいくと、初体験のことばかりで相談する相手も少ない。自分の判断、自分の決断にいつも直面している。そして、現地への技術の移転など、やらねばならぬことが無数にある。
 「許可を求めるな。許しを請え」という言葉があるが、海外ではそのような場面がほとんどだ。日本にメールや電話をしても、状況が把握できているのは結局のところ現地の自分である。許可や裁可を仰ぐ情報と時間は限られる。日常的なトラブルは全て自己責任で判断する以外にない。そのようにして駐在員たちは「創業者と同様の経験」を重ねる。
 「海外へ3、4年生かせると大化けして帰ってくる」といわれるのは、それゆえだ。
 国内空洞化の議論は1980年ころから騒がれているのだが、騒いでいるのは誰だろう。それはもっとも成長の遅いドメスティックな人たちではないか。学者、政治化、マスkミ、エコノミスト、そして労組・・・みなグローバルな場所で戦っていない人たちではないか。

'12.2.9.朝日新聞

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