散歩道<4994>
                        経済気象台(710)・21世紀の「楽市楽座」

 織田信長や豊臣秀吉らが活躍した戦国時代。戦国大名というと、つい「武将」としての活躍に目を奪われがりだが、彼らは「知将」として自国の経済発展にも大いに尽力していた。
 例えば、自分たちの領土で新興の商工業を育成し、経済の活性化を図るため、「楽市令」を出した。当時の市場は、独占販売権や非課税権など数々の既得権を持つ同業者組合(座)に牛耳られていた。上納金を納めなければ、思うように商売もできなかった。
 そこで、楽市令によって座に加盟していなくても、自由に商売できるようにした。自由市場つくりの流れは、座そのものを否定する「楽座」につながった。「楽」という字は現代でいえば、「規制緩和」だった。
 だが、江戸時代に入ると、既得権を持った組合が利益を独占する体制が復活する。「鎖国」という手段で海外からの圧力も遮断。265年間の平和の時代を通じて、市場は閉鎖的に逆戻り。「楽」は、過去の遺物となった。
 そして、現代。
 10年を越すデフレは日本経済をむしばみ、景気回復の兆しすら見えない。原因は、自国の産業と国民の保護という大義名分の下、高い関税やがんじがらめの法律で「鎖国状況」をつくっているからではないか。
 いま日本に必要なのは既得権を否定し、経済の活性化を図る21世紀の「楽市楽座」だ。アジア諸国と米国、豪州などとの環太平洋経済連携協定(TPP)が、まさにそれだ。
 既得
権らは戦国時代と同様に「楽」に対して異を唱えるだろう。しかし、TPPが実現すれば、市場は規制緩和が進み、輸出入はもちろん、経済そのものも活性化するはずだ
 '12.2.1.朝日新聞

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備考:TPPに向け努力されたのは事実だが、政権交代、各国の選挙による党首交代など、世の中の変化が起こった結果、そのTPPも現在、議論されている現状である。
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