散歩道<4985>
インタビユーオピニオン・緊迫する日中(3)
反日デモの底流に格差の不満
■ ■ 政治改革がカギ
今秋の共産党大会で周近平国家首席をトップとする新体制が決る見通しです。首相が有力視される李克強(リーコーチャン)副首相とともに、新体制は内政の安定のためにも「和諧社会」建設の動きを強めるはずです。格差軽減という基本方針は、「チャイナ・ナイン」と呼ばれるいまの最高指導部9人が多数決で決めたもので、次期政権は覆せません。
新体制には一歩進めて、政治体制改革を求めたい。たとえば、中国共産党幹部による利益独占や汚職等の腐敗を撲滅させる為の監督権を、人民の側に与えるべきです。そうすれば、反日デモに便乗して政府への不満をぶつける過激な行動は少なくなるはずです。
尖閣列島に関しては、武力衝突は経済成長の足を引っ張り、それをたのみとした共産党の求心力を失うので避けるのではないか。しかし、中国政府としては少なくとも「日本による国有化」には一歩も引かないと推測されます。
というのも「国有化」の言葉が持つ意味は、日本と中国では異なるからです。中国の土地はすべて国有あるいは農民による集団所有。日本的な「私有地」がないのです。したがって尖閣が日本人の「私有」から「国有」に変わったことは、中国人の目には、日本による「侵略性」がより高まったと映るのでしょう。
日本はまず、この辺の認識の違いを解きほぐさなくてはなりません。日中の会話ルートを確保するため、日中双方の官民でシンクタンクを常設するのも一つの方法。そして何より国際社会における日本の信用度を高めていくことが肝要です。首相がころころ変わる不安定な政治を改善し、日本国民の生命を真に守る政権運営を切望します。
'12.9.29.朝日新聞・筑波大名誉教授・東京福祉大国際交流センター長・遠藤 誉さん
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