散歩道<4984>

                            インタビユーオピニオン緊迫する日中(2)
                                     
反日デモの底流に格差の不満

■ ■  愛国教育の裏面 

  89年に若者が民主化を求めて起こした天安門事件の再来を警戒し、江沢民時代に愛国主義教育が始まりました。中国では愛国主義教育は反日教育ではないといっていますが、実際は反日感情を醸成しています。なぜなら学習指導要領のなかで「抗日記念館」などの見学を義務付けているからです。抗日記念館というものは、日中戦争時代、日本軍がいかに残酷な殺戮(さつりく)行為をし、中国共産党がいかに日本軍に抵抗して勇敢に戦ったかを陳列した博物館です。そこには凄惨(せいさん)な場面を再現した生々しいろう人形などがあり、若者の心に激しい反日感情を芽生えさせます。だから若者の目には、日本政府による尖閣列島の国有化が「日本がいまだに侵略戦争を続けている象徴」と映るのです。
  日ごろ、自由な自己表現、特に中国政府や中国共産党を批判する言論が規制されているので、若者たちは反日を叫ぶ機会があれば「愛国無罪」を旗印にして、激しいデモ行進を展開する。これは「愛国のための行動なら罪は問われない」という意味で、それを守り札のようにして、政府に対する不満を表現しているのです。
  日本企業の工場を破壊し、商品を略奪するのは許されない犯罪行為であり、世界に中国進出リスクを広めるだけです。行き過ぎた愛国主義は中国自身のためにも好ましいことではないでしょう。


'12.9.29.朝日新聞・筑波大名誉教授・東京福祉大国際交流センター長・遠藤 誉さん

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