散歩道<4980>
                            インタビユーオピニオン私たちはつながり始めたのか(3)
                             AKBにはある 参加し選ぶ楽しさ 祭りを取り戻せ


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・・・はぁ、AKB、ですか。
   「AKBがなぜあれほど盛り上がっているのか。ポイントは二つあります。ひとつは多様な選択肢があること。200人を超えるメンバーの中から、『コレだ!』と言える、主体的に選びとったという感覚を抱けることが重要です。もう一つは、参加感です。昔のアイドルのファンは『追っかけ』と言われました。文字通り、追っかけるしかなかった。でもAKBのファンは『推す』と言います。ちなみに僕は、『はるる』こと島崎遙香さん推しなんですが」
・・・・すみません。知りません。
   「いえ、大丈夫です
(笑い)。で、はるるの握手券を買うとか総選挙で投票するとか、受け身ではなく参加して、AKBを支える『われわれ』の一員であるという感覚を抱けるのがAKBの魅力です。握手券の売り上げが伸びると、AKB内でのはるるの序列が上がり扱が良くなる。それがうれしい。そしてネット上のファンコミュニティーで『応援したかいがあったね』と喜びを共有し合う。これがまた楽しい」
・・・・今の政治にはそれがないと。
   「とにかく推せる選択肢が少なすぎます。選挙制度をわざわざ変えて英米流の二大政党を目指したけれど、結果は『どっちに入れても同じ』で、ますます政治的無関心が広がってしまった。民主党の代表選や自民党の総裁選を見ても、党内力学で『選挙の顔』が決ってしまう。総選挙になれば、マニフェストを比較して、自民か民主化どっちの政権がいいかを選べると。推せる感覚も、参加している感覚もまったく得られない。どんなに『主権者として一票を行使せよ』と説教されても、楽しくないところに人は集まりませんよ」   「よく、民主主義には熟議が大事だといわれますよね。だけど大事なのは『熟す』ことで、『議』はあってもなくてもいい、とういうのが僕の考えです。いかにも民主主義が成功しているように見えるアメリカの大統領選挙だって、熟議の内容、つまりこの候補が掲げる政策が一番まともだから大統領でいいですねというんではなく、じっくり選挙を積み重ねていくことで、『われわれ』感が煮詰められ、熟していく。それが『俺たちのアメリカ人が最高に納得する一人を選んだ』という納得感につながっているのだと思います」

'12.9.14.朝日新聞 批評家・濱野 智史さん
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