散歩道<4979>

                            インタビユーオピニオン私たちはつながり始めたのか(2)・
                             
数万の人を動かす
 ソーシアルメディア リーダーは不要


・・・・形式に着目すれば、世界中のどの運動にもはっきりしたリーダーがいませんね。
   「価値観やライフスタイルが多様化している現代では、ひとつの思想の下に大勢が集うのはほぼ不可能です。ソーシャルメディアに媒介された運動は小さな環の集積だから、むしろリーダーがいない方が、主義主張の違いを超えて、多くの人々がひとつの場所に集まることができる」
   「いま世の中を動かす為に求められているのは、思想を唱え、人々を力強く導くリーダーではない。現に多くの人が集まるというフォローワーシップです。フォローが連鎖的に運動に参加し街頭を埋め尽くすという端的な事実こそが、多くの人々を集めるリーダーシップの役割りを果たしています」
   「ある米国の起業家がこんなことを言っています。『最初のフォローの存在が、一人のバカをリーダーに変える』。けだし名言です。これまでリーダーシップは、過大評価されてきたのではないでしょうか」
・・・・そう考えると、リーダーがいないからダメと言われ続ける日本政治の見え方が変わってきます。
   「今の政治に欠けているのも、フォローワーシップですよ。リーダーシップがないからみんながついていかないんじゃなくて、みんながついていかないからリーダーシップになってないのです。『卵が先か、鶏が先か』的な議論に聞こえるかもしれませんが、この違いは大きい」
   「さらに言うと、フォローワーシップは、社会学者の小熊英二さんの言葉を借りれば『われわれ』という感覚を醸成する。日本社会からこの感覚が失われてしまったことが、政治の機能不全につながっています」
   「小熊さんは脱原発デモを例に『われわれ』の再生を語っていますが、僕の場合はAKB48にハマって初めて、『われわれ』の感覚が立ち上がるのは人間にとって根源的に楽しいことなんだと知りました」


'12.9.14.朝日新聞 批評家・濱野 智史さん

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