散歩道<4970>
                      オピニオン・インタビユー高度成長とアメリカ  
                       
大国意識を捨て多元的なアジアに活路を見いだせ(4)


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・・・東京電力福島第一原発事故の前はそんなトリックがあったこと自体を多くの人が知りませんでした。
  「54年に映画『ゴジラ』が製作されています。ゴジラは原水爆、あるいはアメリカの暗喩で、いわば反米映画でした。ところが60年代後半から、『僕等のヒーロー』に変質してしまう。これは戦争や核、アメリカに対する日本人の想像力の変化を象徴的に示しています」
  「戦後日本に一貫しているのは非常に強い親米意識です。理由はふたつ考えられる。ひとつは、戦禅・戦中の天皇に代わり、戦後はアメリカこそが日本のアイデンティティーを保証してくれたからです。60年代以降、「メード・イン・ジャパン」は優れていると強調する広告が沢山出ていますが、多いのは、日本人技術者の後ろにアメリカ人の科学者がいて、日本の技術を評価しているというパターンです。直接的に『アメリカでも折り紙つき』といったフレーズが使われることもあった。アメリカのまなざしのもとに自分たちは優れているとか、アジアの中で最も進んだ国だといった誇りを再び持つことができた」
  「もうひとつは、戦中のアジアへの侵略行為を忘れたいという社会心理もあったと 思います。60年代、軍事独裁の朴正煕
(パクチョンヒ)大統領と日韓基本条約を結んだのをはじめ、実質的には戦後賠償である経済協力協定をアジア各国と結んだ。冷戦構造の中で、アメリカが日本の後見役をしていたからこそ、戦中期に日本がやったことにとりあえずフタをし、忘れることができた。日本はアジアを忘れるために。一生懸命にアメリカだけを見てきたのだとおもいます」
 

'12.9.4.朝日新聞・東京大教授・吉見俊哉さん

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