散歩道<4969>
オピニオン・インタビユー高度成長とアメリカ
大国意識を捨て 多元的なアジアに 活路を見いだせ(3)
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・・・どういうことですか。
「日本が原発導入に向った最大の理由はアメリカの世界戦略です。アイゼンハワー米大統領は53年12月の国連総会で、原子力平和利用に関する研究や原発建設で諸外国と協力すると約束した。有名な『アトムズ・フォー・ピース』演説です。軍事大国のイメージをやわらげるとともに、原子力技術を第三世界に提供することで、自陣営に取り込もうという狙いがあった。とりわけ被爆国の日本が原発導入に動けば、ヒロシマ、ナガサキへの非難をかわせるし、宣伝効果も大きい。実現しませんでしたが、アメリカ政府・産業界は、日本初の原発を広島につくりたいとも考えていました」
「もうひとつ、アイゼンハワーは共和党で小さな政府路線、民活志向だったことも大きい。米国内の原子力産業の育成を促すうえで、日本は非常にいい原発プラントの輸出先になるとの計算があったと思います」
「そして多くの日本人は、アメリカに原爆を落とされた被爆国だからこそ、原子力の平和利用によって平和と豊かさを手にする権利があると思った。そのレトリックというかトリックの完成が、70年3月14日に開会した大阪万博です。同日、敦賀原発1号機が稼動し、万博会場に『原子の灯』をともしました。続いて8月に美浜原発1号機も会場に電気を送った。敦賀を手がけたのは米ゼネラル・エレクトリック 、美浜は米ウェスチングハウス。高度経済成長の完成を日本国民が確認し、祝賀する国家イベントは、アメリカ製の原子の灯に支えられたのです」
'12.9.4.朝日新聞・東京大教授・吉見俊哉さん
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