散歩道<4833>
インタービユー・オピニオン・震災国の私たち
文明は磐石でない無常観を抱きながら積極的に、地道に (4) (1)〜(6)続く
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・・・これだけの衝撃と被害から、日本はどのようにして立ち直っていくのでしょう。
「私は東日本は15年で回復すると固く信じて今う。15年というのは阪神の回復にそれだけかかったからです。被災した面積は広いが、国民の関心もその分だけ大きい。いずれにせよ現代文明の力を持ってすれば、完全な防災は無理でも、復興は出来る。日本という文明化された社会は、ゆっくりだけれど。未来に向ってこつこつと進んでいく、その意味では楽観的です」
「ただ、日本では17年間の間に2度も国家規模の、つまり国民全体が衝撃を受けた大震災が起きた。この心理的な影響は大きい。この結果、日本人の中である種の無常観が目覚めたかもしれない、と考えています」
・・・え、無常観とは?
「我々は決して磐石な文明の上に生きているわけではない、これだけ科学技術が進んでも勝てないものがある、人間というのは実に弱いものだ、という自覚です。まだ具体的な証拠ではありませんが、人間の傲慢(ごうまん)さというものを反省し始めているんじゃないだろうか」
「これは、西洋の近代と比べると違いがはっきりします。18世紀半ばにポルトガルのリスボンで大震災が起き、ヨーロッパの人たちに大変な衝撃を与えました。しかし折から啓蒙主義が生まれつつあって、ボルテールやディドロらが人間の偉大さや未来の輝かしさを説いていた。その合理主義の中で、人々はショックを忘れていったわけです」
「日本人の場合、無常観を抱えたまま頑張るという不思議な伝統があります。いわば積極的無常観。それが戻ってきたのではないか」
12.3.9.朝日新聞・劇作家・*1山崎正和さん
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