散歩道<4762>
文化・CTで古代くっきり(2) (1)〜(2)続く
立体撮影で遺物削らず詳細解読
今津節生・九博環境保全室長は、CT調査を手術前の健康診断にたとえる。
「文化財の状態があらかじめわかれば、保存処理や修理に効果的な対策が立てられる」。通常、遺跡では調査過程で多くの情報が消えていくが、CTで報告書前の生データを集め、多くの専門家が異なる視点から検討すれば、新発見にもつながるのではないかという。
昨年、西暦570年の年月日を示す象眼文字で話題を呼んだ「庚寅(こういん)」銘大刀では、発見わずか3ヶ月後、2台のCTによる分析結果が公表された。 画像処理された文字が立体的に浮き上がり、モニター上で回転してあらゆる角度から観察できる。一画一画の筆順やハネ方もくっきり。福岡市教委の担当者は「象眼を露出させるために遺物を削らずに済み、情報が失われる危険性もない」と話す。
かって埼玉の稲荷山鉄剣の銘文解読に携わった狩野久・元岡山大教授も、CT画像を見て驚いたという。「普通のX線写真では平面を見るのが精いっぱい。立体的に文字が解れば、解読も革新的に進むだろう」
'12.2.7.朝日新聞・編集委員・中村俊介氏