散歩道<4761>

                            文化・CTで古代くっきり(1)                  (1)〜(2)続く                  
                          立体撮影で遺物削らず詳細解読

 医療機器でおなじみのX線CTスキャナーが、文化財の世界でも発揮している。これまでの平面的な透視に対し、詳細な立体撮影ができ、コンピユーターで自在に画像処理できるのが強み。昨年、福岡市で発見された「庚寅(こういん)」の銘が刻まれた太刀(たち)を破壊せず分析し、短時間で多くの情報を得るなど、保存修復や調査スタイルに新時代を確立しそうな活躍ぶりだ。
 古代中国の青銅器コレクションで知られる泉屋博古舘文官(東京・六本木)で、会館10周年記念展が開かれている(26日まで)。展示品に添えられたX線写真は、九州国立博物館(九博、福岡県太宰府市)のCT装置による撮影だ。
 日本には文化財専用のCT装置が2台ある。一つは九博、もう一つはやはり福岡県の小都市にある九州歴史資料館(九歴)。
 九博のCT装置は、2009年の「国宝阿修羅展」で興福寺の阿修羅像の原型となった塑像
(そぞう)の復元に活躍。憂いに満ちた少年のような顔つきと異なる、細面で厳しい表情が現れ、世間を驚かせた。九歴は10年秋に導入。地元の仏像を調べたところ、近年の塗装で隠されていた本来の姿や制作年代が判明するなど、実績を挙げている。

'12.2.7.朝日新聞朝日新聞・編集委員・中村俊介氏

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