散歩道<4755>
                       インタビユー・オピニオン、国債暴落に備えよ(5)            (1)〜(6)続く
                         円高の今のうち 国は外貨資産蓄え 破綻の痛み緩和を  

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・・・今の国会を見ていると、それも難しそうです。
  「私は増税と社会保障費の削減などによる財政再建に向けた最大限の努力を尽くすべきだと思います。でも、それがうまく行かなかった場合に備えて、破綻時のダメージを緩和する政策が必要だと思います」
・・・どんな政策ですか。
  「対外資産(外貨建て資産)を大量に買い入れる基金を官民で作る、というものです。基金は、民間企業が対外資産を買い入れる際の為替リスクを肩代わりもします」

・・・
それがなぜ、ダメージを緩和するのでしょう。
  
「円高のうちに、外貨建て資産を買っておけば、国債価格が暴落して、円安になると、為替差益が生まれます。円安というのは、例えば1j=80円だったのが1j=100円になることです。1jもっておけば、円安で20円、もうかるわけです。外貨建て資産を保有している基金に、為替差益という利益が生じるので政府部門全体の財務内容が改善します」
  
「同時に、基金が外貨を買って円を売ることになるので、円高対策になって輸出企業を支えます。その結果、税収が増えて財政も助かりますから、破綻を先送りして、財政の再建に必要な政策を進める時間を稼ぐことにもなるわけです。さらに財政破綻時に過度な円安になれば、基金が外貨を売って円を買うことで、円安も緩和することができます」
・・・政府も一緒になって外貨建て資産を買うと、外国から「為替介入」と批判されませんか。
  「たとえば、今後発行される予定の欧州連合(EU)共同債など買えばいい。欧州債務危機への支援として買えば、単純におつきあい的に少額の資金を拠出するよりは外交的にも効果があり、為替介入の批判をかわすこともできるでしょう。発行済みの日本国債の規模から考えると、官民あわせて数百兆円から1千兆円程度の対外資産を持つことが望ましい。基金はその呼び水です。日本の対外資産は600兆円程度ありますから、必ずしも非現実的ではないと思います」
12.2.2朝日新聞・一橋大経済研究所教授・*1小林 慶一郎さん 
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備考:メモ:《国債の価格と金利》100円で購入すると満期に105円で政府が買い取る国債を発行したとする。国債は発行直後から市場で売買され、発行時点の価格(100円)とは別に市場価格がつく。市場価格は、需給関係で決まり、売り手が増えれば価格は下がる。買い手が値下がりを待って95円に下がった時に買うと、満期には105円が手に入る。買い手が得る利回り(金利)は10円で、発行した当初(5円)よりも高くなっている。「値下がりすれば金利が上がり、値上がりすれば金利は下がる」という関係になっている。