散歩道<4732> 
 
                         インタビユー・オピニオン・経済成長という麻薬(1)                  (1)〜(7)続く
                       幸せを感じるのは 成長が加速する時 止まれば消える

経済成長が難しい時代だ。深刻な債務危機に陥った欧州も成長なしの年月を避けるわけにはいかなくなりつつある。それが何を意味するのか。そもそも経済成長とは人間社会にとって何だったのか。2009年に、それを論ずる著書「悪徳の栄え」が評判になったフランスの経済学者、ダニエル・コーエン高等師範学校教授に聞いた。

・・・一人あたりの所得という視点から見ると、人間社会が経済成長とともに歩むのは例外的なことだと、著書で指摘していますね。
  「経済成長は人間社会にとって自然なことではない。18世紀までは、経済的、技術的に進歩があっても、それは結局のところ人口の増加に寄与するだけで,1人あたりの所得を増やすことはなかった。1人あたりの所得をカロリーで考えると、石器時代の狩猟採集社会と比べて、英国の産業労働者がそれほど豊かになったわけではない」
  「さまざまな研究によると、有史以来、貴族などをのぞいた90%の人々は、間違いなく現代の最も貧しい人々と同じレベルの収入で暮らしていた。つまり1日1jだ」
・・・それが変わったのは?
  「19世紀から欧州で、ついで日本でもそれまでとは違うメカニズムが急速に形成されていった。つまり、豊かさが1人あたりの所得の増加につながっていった。産業社会へ、 18世紀までとは別の法則に従う世界へと移行した。1人あたりの所得が増えるようになったのだ」

'12.1.18.朝日新聞・経済学者・ダニエル・コーエンさん

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