散歩道<4727>

                       インタビユー・オピニオン・世界でトップを取る(3)
                      3・11で社会変化 芸術家も動くとき もだえ苦しみ作る                           (1)〜(5)続く

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・・・そうした中で、日本の文化を世界に発信するには、何が必要なのでしょう。
  「著作権の整備です。日本のコンテンツが海外に売れても、利益はわずかなのが現状です。映像化権などさまざまな権利も海外に取得されてしまい、日本側の収益につながらない。そんな状態で、クール・ジャパンなどと浮かれていていいのか。もっとアーティストに利益が還元されるように、著作権をはじめとする法制度の整備が急務です。それなのに、日本国政府はビジネスの現状も知らず、国際的な著作権の動向に関してはアメリカに主導権を握られてしまい、右往左往して何も有効な手段が打てない」
・・・欧米のほうが、芸術活動をする環境としては、日本より優れている、と。
  「そうは言いませんが、欧米には、美術館の学芸員らの人材が豊富で、作品をきちんと評価し、価値付けできるメソッドがある。審美眼を備えて信頼するに足るアート市場もある。意地悪なジャーナリズムもよく勉強していて対抗し甲斐がある。一方、日本は美術館がたくさんあるだけ。ジャーナリズムは印象批評に偏っており、マーケットを蔑視している。オークション会社にしても、贋作を
(がんさく)カタログに載せていたりする」
  「日本の場合、教育に目を向けても、美術大学は無根拠な自由ばかりを尊重して、学生に何らの方向性も示さない。芸術には鍛錬や修業が必要なのに、その指導もできない。少子化や国立大学の法人化で、学生がお客様になってしまい、教師は学生に迎合している。お陰で、あいさつさえまともにできず、独りよがりの雅拙な作品しかつくれない学生ばかりが世に送り出される。先鋭的なものは何も生まれてこない。だから、世界に出ていって通用する芸術家が日本にはほとんどいないんです」

'12.1.7.朝日新聞・現代美術家・*1村上 隆さん 

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