散歩道<4713>
                      インタビユー・オピニオン・新しい民主主義(1)      (1)〜(8)続く     ・・・・・ 発想を変える
                        何十万人もの「自分たち」で動き、決める時が来た。

「大欧州」があえいでいる。政府の債務(借金)危機が広がり、欧州連合(EU)主導の緊縮政策に人々の不満は高まるばかりだ。欧州は、世界は、この危機を克服することが出来るだろうか。そして、危機後に広がる世界は。

金融が絡めとる 現代の労働者たち 国も企業も危うく

・・・危機を脱することが出来ると思いますか。
  私に言えるのは、この危機から脱することができても、その時欧州はもはや「欧州」ではなくなっているだろう、ということです。
・・・どういうことですか。
  欧州は、特に戦後の欧州は、福祉が進み人権を尊重する高度な市民社会でした。世界の発展や科学技術に自発的な形で対応する能力があった。しかしこれからは違う。この危機から脱したとしても、そのときには全てが、あらゆるレベルで縮小してしまっているでしょう。
 なかでも懸念するのが、民主的な権利、とりわけ労働者の権利が縮小されることです。ストライキ権が制限され、福利厚生が削減され、労働時間が長くなり、男女の雇用格差が広がる。非正規雇用など不安定な労働形態はさらに横行するでしょう。50年、いや100年、逆行してしまうかもしれません。もっとも、19世紀の統一ドイツ宰相ビスマルクの時代まで戻るとは思えませんが。
 すでに貧困が広がっていることがその予兆です。イタリアでも、ミラノやローマなどの大都市郊外や南イタリアに行くと、貧しさを肌で感じることができます。フランスの郊外でも同様です。欧州全体が不安定な状態になっています。

'12.1.4.朝日新聞・政治哲学者・アントニオ・ネグリさん

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備考:<帝国>とマルチチュード:例えばIMF、世界銀行、WTO.あるいは国際的なNGO、複合共同体、巨大メディア。グローバル化した世界はこうした「権力」が網の目のように広がり、巨大な秩序と主権を構成している。そこには国家のよう政府も固有の領土もない・・・思い切って簡略化するとネグリの言う<帝国>のイメージに近い。ローマ帝国などの歴史上の帝国や帝国主義の帝国などと区別するため、<帝国>と表記した。<帝国>に対抗する新しい民主主義の主体としての概念が「マルチチュード」である。「群集」「多数」「多数性」などと訳されるが、ネグリの言う多数性の意味が出てこない。「多様な個の群れ」あるいは「多個郡」という試訳もあるようだ。