散歩道<4699>
経済気象台(699)・モノづくり偏重からの脱却 ・・・・・ 発想を変える
新年を迎えても円高は止まらず、空洞化の懸念がさらに強まっている。メディアは日本企業による海外生産の増大を報じている。
日本にって、モノづくりが経済の基盤であることは疑いない。米国でも技術革新や雇用の源泉として、製造業の重要性が指摘されている。一方で、経済に占める比重として、また成長の担い手として、サービス産業の重要性が高まっていることもまた事実である。日本の情報通信を含むサービス産業の生産額や就業者数は、製造業のそれぞれ1.3倍、2.5倍に達する。
時代の最先端を行く米アップルの高収益を支えているのは、斬新なソフトウエアやアイデアである。そもそもアップルはハード(機器)を国内では生産していない。シリコンバレーの人たちは、付加価値を生むのは革新的なサービスやビジネスモデルであって、ハードはそれを可能にするもの(enabler)と位置付けている。
最近、意見交換した中国の研究者たちは、中国がこれから目指すベきは、サービス産業の高度化、高付加価値化であると言っていた。所得水準の上昇とともに、これまで圧倒的だった製造業の競争力が弱まる中で、サービス産業が成長の原動力となることを見据えているのだろう。日本が空洞化を恐れるあまり、多くの経済資源を政策的に用いて、モノづくりへの過度の依存を続けようとすることはサービス産業の発展を抑制し、かえって空洞化を加速することになりかねない。
日本製造業の優れた技術を磨き続けることは必要だ。しかしそれが、新たなサービス産業の排出を阻害するとしたら、我々は次世代の成長機会を削ぐことになる。
'12.1.5. 朝日新聞
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