散歩道<4693>
経済気象台(693)・経済センスをはぐくむ
今年の8月5日、最高水準の格付けを得ていた米国債が、史上初めて引き下げられた、米国だけでなく、世界中が大騒ぎしたことは記憶に新しい。
翻って日本国債。新規発行なしに政府予算を組むことは不可能であり、国債残高はGDPの2倍近い。このため今年も格付けが引き下げられ、先進国の中では低い部類だ。
しかし、日本のメディアはこの動きを事実として伝えるが、連日、大騒ぎすることはなかった。我々国民も確たる不安も感じず、また、感じさせられてもいない。
これに対して米国では、8月5日以降、モーニングショウから始まって、あらゆる時間帯の番組がの司会者が、米国債の格下げの話を採りあげていた。司会者自身の住宅ローン借り換えが不可能になるのではないかとか、カードローンの金利が引き上げられるのではないか、と卑近なものから、国内企業の借り入れ金利が上がり、証券市場に悪影響が出てくるのではないか、という企業社会への懸念までさまざまだった。
この違いは、両国民のリスクに対する敏感さと、おカネに対する知識や距離感の違いから来ると考えられる。日本人には「カネの計算」に一種の拒否反応もある。 そして、この感覚の差は、幼少期からの教育に起因するのではないだろうか。わが国で以前、米国の「レモンをお金にかえる法」といった絵本が話題になった。米国では幼少期から、リスクや金利、好不況、利益の計算などの考え方を子供に学ばせ、経済センスを磨く機会を与えている。
わが国に真の資本主義を根付かせるためにも、この彼我の差を単なる文化の差として捉えて納得しているだけではいけない。
'11.11.17. 朝日新聞
関連記事:散歩道<検>経済気象台、<検>社説、<検>政治、<検>外国、<検>発想を変える、<検>教育、