散歩道<4692> 

                         経済気象台(692)満点の答案はない            ・・・・・ 発想を変える

 円高が止まらない。ドル比で言えば円は2007年6月につけた124円から77円(11月15日)まで一方的に38%の上げである。輸出立国を基本とするわが国にとって、ただ事ではない。対策はただ一つ、海外進出ということになり、海外生産は急激な高まりを見せている。
 ある経営情報誌によると、わが国の生命線とも言うべき分野での海外生産比率は情報通信機器で26%、輸送機器で39%にも達し、さらなる加速が予想される。国を挙げての雪崩のような海外シフトが既に始まっているのだ。
 当然のことながら、このことは、わが国の雇用事情に大きな影響を与える。この点は各国とも事情は同じで、そうならないように持続的に自国通貨を割安に抑える努力を続けていることは周知のところである。この点、わが国の当事者はいささか戦略性に欠けているように見える。事態の急変に驚いて、あわてて泥縄的に対策をうって、世界の物笑いになるような遇は避けるべきだ。現在、政府は不況対策に苦慮しているが、「円高是正」こそが、その最良の策であると銘じたいものだ。
 そのためには、まず、さらなる金融緩和を行う必要があろう。かってのバブル再現を恐れる向きもあるが、環境は全く異なっている。やってみることだ。現実の世界で百点満点の答案はあり得ない。加うるに情報化社会である。「うかつに動けば、たちどころにジャーナリズムの絶好の餌食となる恐れがある」。このような思いが、行動を鈍らせているとしたら無用のことだ。遅疑逡巡
(ちきしゅんじゅん)はトップの最も忌むべきところである。やってみなければ何事も始まらず、やれば「何か」が始まる。この「何か」が現在、最も大切なのである

'11.11.16. 朝日新聞

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