散歩道<4690>
経済気象台(690)・サプライチェ−ンリスク
タイが50年に一度という大洪水に襲われ、日本経済への深刻な影響が懸念されている。
1990年代、タイは日本と同じ仏教国であることに加え、政治的安定や治安の良さ、親日的な国民感情などから電機や自動車、精密機器などの輸出産業が円高対策で進出。約1600社もの日本企業が拠点を構え、東南アジア隋一の生産基地となっている。
今回の洪水で、バンコク北部からアユタヤ県の工業団地が軒並み浸水、水没し、操業停止を余儀なくされている。その結果、周辺国や日本での生産にまで支障が出始め、新商品の発売に影響が出る可能性も出てきた。
激しいグローバル競争にさらされている輸出企業は、コスト削減のため、主要部品を最も効率的な地域で集中生産し、それらを持ち寄って完成品を組み立てるグローバルサプライチェ−ンを構築。さらにコストを下げるため、部品在庫も極限まで減らしている。
つまり、ひとつの部品の供給に問題が生じただけで、関連する多くの拠点で生産が止まるリスクと隣あわせでコスト削減しているのである。
約半年前には、東日本大震災によって特定の半導体を生産する工場が被災し、自動車や電機産業で多くの企業の生産に支障が生じた。
こうしたリスクの軽減では、部品在庫を多めに持つとか、供給拠点を複数もつといった対策が考えられるが、コスト上昇を覚悟しなければならない。
相反する二つのファクターを、どこでバランスさせるのか、経営者は真剣に考えなければならない。想定すべきリスクは自然災害リスクだけではない。テロやサイバー攻撃、政治リスクなど極めて広範にわたっている。
'11.10.25. 朝日新聞
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