散歩道<4684>

                        製造業から見た日本と世界(6)                          (1)〜(6)続く

                    細部にこだわり 部品で稼いでいく 名を捨て実を取る   

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・・・それさえあれば大丈夫?
  「もう一つ、心配なのがトップの決断力です。韓国は思いきった投資ができるけれど日本はなかなかできない。デジタル化が進んだ業界では、量という要素が重要になる。どこでも同じものができるから、大きな投資をして大量に安く作るところが勝つんです。ところが、日本企業は、バブル崩壊で苦しい状況を経験しすぎて、いかにリスクを減らすかが最優先課題になってしまった」
  「最近、私自身も中国やインドの人と話していると『いやいや、こういうリスクがあるから』といってしまう。彼等は『失敗したら、その時考えればいいじゃないか』と切り返してくる。40年前に私がいたホンダの社内で言っていた言葉ですよ」
・・・リスクを敢然と取ることも日本は必要だと。
  「そう思います。73年に米国でフォードの5.7gV8エンジンを見た時、自分が生きている間、日本では作れないと思った。完璧でした。でも、設計は戦前でした。新しいものに挑戦するより、いかに守るか、だったのでしょう。そこから10年でホンダは追いついた。今はデジタル化で新興国が追いかけるスピードがどんんどん速くなっている。ホンダが米国メーカーに追いついた頃に比べて3倍くらいになっています」
・・・欧州危機が続き、朝鮮半島情勢も不透明です。もっと先を見れば中国もいずれ高齢化します。いい材料は、なかなかありません。
  「私が好きな言葉があるんです。川の水は途中で渦を巻いたりして、ちょっと見ると元に戻るように見えるけれど、結局、海に流れこむでしょう。そういう大きな流れを見ていればいいんです。ソフトバンクの孫正義さんの言葉ですがね。今は苦境の国々も、これから苦境に入る国々も、人はみな豊かさや安定を求めて必ず立ち直ります。日本もそうでした。そこを見失わないで仕事を続けていくことが、企業人にとって一番、大切なことだと思いますね」


'11.12.24.朝日新聞・旭テック会長 入交 昭一郎さん

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