散歩道<4674> 
  

                                    インタビユー・オピニオン・北の国からTPPを考える(4)                         (1)〜(6)続く
                         土から離れた議論 農業を知らない 東京目線の思考
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・・・・統御できないものは、放っておけばいい。そんな考え方もあるのでは。
  「自然を征服できなければ、その土地を捨てて、次の場所へ移ればいい。それが米国流の資本主義の思考じゃないかな。でも、日本の農業は明らかに違う。土着なんです。天候が悪くて不作の年は天運だと受け止め、歯を食いしばって細い作物で生きていく。それが農業の本来の姿でしょう」
・・・農業は弱いものですか。
  「いや、生きる手だてとしては、最も揺るがないものですよ。僕自身、終戦後66年の中ですごく不安感があったんです。どんどん豊かになっていく暮らしが続くわけがないっていうね。だから僕は地方に移ったし、じゃ、地方で生きていくためにどうやったらカネが一番かからないんだって言ったら、やっぱり自分の体を使うことですよ」
 「役者やライターを育ててきた富良野塾では26年間、3食を280円で賄ってきたんです。野菜の4割は、規格外で畑に捨てられちゃう。それを拾ってくればいい。細いニンジンや小さなタマネギがたくさんある。富良野塾をやってみて、ああ、食えちゃうんだって思いましたね。自給自足の弥生式をやろうと思っていましたが、採取の縄文式です」
・・・むしろ、社会の仕組みのほうがニンジンを捨てさせている。
  「ええ。考えてみて下さい、それって本当は商品なんですよ。刻んでカレーに入れたら変わらないのに流通にはのらない。捨てられたニンジンを集めて浜松あたりまで運んで売ろうとしたことがあるんです。20人くらいで2、3ヶ月やったけど、10万円にもならなかった、輸送経費がかさんでね。がっくりしましたよ。なるほど、社会の仕組みはこうなのかと」

'11.12.9.朝日新聞・脚本家・倉本聡さん     


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