散歩道<4660>
                  
                            講演会・韓国における親日派(1)               (1)〜(3)続く    
                        韓国における<親日派>言説に関する一つの考察

 話は韓国のあるテレビが、植民期朝鮮の19歳の朝鮮人の青年が新京に駐屯していた関東軍の航空隊に配属された後、神風特攻隊*1として戦死した。出撃を前にして彼は故郷の父や母や兄弟への遺言を録音したのだが、何十年という年月を経た後、その遺言を録音をしたLPが発見された。”天皇陛下万歳””両親の長寿”への願いを語る朝鮮出身の日本陸軍中尉の力強い肉声が流れた時、ほとんどの韓国人の視聴者は必ずやひどく当惑せざるを得なかったであろう。当惑はさらに続いた。その青年は彼が避けられなかった死を甘受し、結局靖国神社に”合祀”されのだ。彼の遺族には連絡されていず、その放送があるまで何の通知も受けていなかったというものである。韓国社会は今も「日本」という言葉が発せられると非常な興奮状態に陥るのが普通だそうだが、この放送には沈黙状況が続いたという。
 その番組は神風特攻隊員が意識的な「親日派」であるよりも、いくらかでもよい生のため軍隊に志願し、最後に戦場で散った、といった当時の植民地出身のどこでも見られた平凡な青年たちにすぎないと伝えている。
 日帝の戦争への動員で犠牲になった同胞の青年の死に対する解説者の同情に満ちた声を耳にする一方で、視聴者は「天皇陛下万歳」を叫ぶ、その「同胞」の青年の最後の肉声を同時に聞かなければならない。その奇妙な錯綜現象の上に更に「親日(派)清算」の視線が重なる時そのドキュメンタリーの視聴している視聴者の意識は混乱するしかない。だが、その混乱はそれで終わるものではない。ドキュメンタリーはそうした青年たちが「なぜ靖国に合祀されなければならないのか」と問う。合祀が不当であることは言うまでもない。彼等がそこにいるべき理由はない。かれらは「帰ってこなければ成らない」。ところで、どこへ。

'11.12.13.延世大国文科教授・キム・チョル(金哲)             コメンテーター・国際日本文化研究センター教授・鈴木貞美氏

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