散歩道<4649>
       
                          視点・ユーロ危機・「欧州合衆国」が必要だ (3)                 (1)〜(4)続く

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 一方、で、ユーロ圏の政治の力不足を補って、まず予算政策を共通にして財政を統合すれば、連邦制も夢ではなくなる。はっきり言わせてもらえば、「欧州合衆国」と言えないようなものでは、迫りくる大惨事を防ぐには力不足だろう。
 好むと好まざるにかかわらず、ユーロ圏はEUの先駆けにならざるを得ない。なぜなら、EUに加盟する27ヶ国が一体となって、政治統合を積極的に加速させることはないだろうし、また、できないからだ。残念ながら、EU条約の必要な改正に満場一致の支持を得るのは到底無理である。では、どうすれば良いのか?
 欧州諸国は、EU条約の枠外で統合に向けた決定的な前進を遂げた。国境の開放に合意した、いわゆるシェンゲン協定である。シェンゲン協定は現在ではEU条約の一部となっているし、そもそも、EUの精神に沿ったものだった。ユーロ圏はこうした成功例に学ぶべきである。
 ユーロ圏には政府が必要である。現状では各国首脳だけで構成されるだろう。すでに、そうした動きも始まっている。また、共通の予算政策がない財政統合はあり得ず、国会がなければ何も決められない。つまり、各国の議会の指導者達から成る「欧州議院」のようなものが不可欠だ。

'11.11.12.朝日新聞・ドイツ元外相兼副首相・ヨシュカ・フイッシャー


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