散歩道<4647>
       
                          視点・ユーロ危機・「欧州合衆国」が必要だ (1)    (1)〜(4)続く      ・・・・・ 発想を変える

 ユーロ圏は世界的な金融危機の真ん中にいる。ユーロ圏は国家ではなく、もろい「構造物」でしかない。危機はそこを直撃している。ドルに次ぐ世界第2の通貨であるユーロだけが、国家を伴っていない。これこそが、国民と市場の信頼を無にし、国際金融システムを大惨事の瀬戸際に追い込んでいるのだ。
 言い換えれば、現在の金融危機はユーロ圏の政治的危機の表れであり、欧州プロジェクトそのものに疑問を投げかけている。欧州の通貨統合が立ち行かなくなれば、共同市場や欧州の諸機関、条約はほとんどなくなってしまうだろう。60年かけて順調に進めてきた統合を、その行く末を見ないまま白紙に戻さなくてはならなくなる。
 この失敗は、2世紀にわたる欧米支配が幕を閉じ、新たな世界秩序が台頭する時期に重なっている。権力や富は東アジアや他の新興国に移りつつあり、この間、米国は自国の問題に振り回されながら、大西洋から太平洋へと目を向けている。欧州諸国以外に欧州の国益に対処するものはいない。自らの運命の担い手にならなければ、欧州は新たな強国の標的になってしまう。

'11.11.12.朝日新聞・ドイツ元外相兼副首相・ヨシュカ・フイッシャー


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