散歩道<4630>
                        インタビユー・オピニオン・記者が消えた街(4)                (1)〜(6)続く
                     米で地方紙が激減 監視なき役人給与 大統領の倍にも

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・・・新聞がある都市部では取材空白の問題は起きないですか。
   「いえ都市部も無縁ではありません。例えば法廷取材はもう絶滅寸前です。こまめに公判を傍聴し、訴状や判決の即日閲覧を求める記者がいなくなり、裁判所の仕事にたるみが出てきた。以前なら当日中にプレスの手に渡っていた裁判資料が、ネット掲載の3日遅れや7日遅れはざら。この先、裁判官の遅刻や暴言が報道されることはないでしょう」
  「医療分野でも問題が顕在化しています。多くの新聞社が、4人いた医療記者を一人に減らすようなリストラを断行。医療記者は特ダネを見つけても取材する時間が無い。病院や医学部の側にも不満が強い。教育報道も危機的です。コロンビア大学が毎年主催してきた恒例の全米教育記者研修も、参加者が集まらず中止に追い込まれたほどです」
・・・新聞の取材力が落ちた分、ネットが穴埋めてくれたのでは。
  「残念ながら新聞の穴を埋めるにはいたっておりません。今回の全米調査で実感したのは、ニュースの鉱石を地中から掘り出す作業をしているのは今日でももっぱら新聞だという現実です。テレビは、新聞の掘った原石を目立つように加工して周知させるのは巧みだが、自前ではあまり掘らない。ネットは、新聞やテレビが報じたニューズを高速ですくって世界へ広める力は抜群だが、坑内にもぐることはしない。新聞記者がコツコツと採掘する作業を止めたら、ニュースは埋もれたままで終わってしまうのです」

'11.10.29朝日新聞・元米誌記者・スティーブ・ワルドマンさん

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