散歩道<4615>

                  オピニオン・耕論・ダブル増税 大義あるか(1)
                              財政至上主義に陥るな
                                 (1)〜(2)続く

野田政権が推し進める震災復興のための9.2兆円の臨時増税案。その先には社会保障財源のための消費増税が控えている。デフレ不況が続く中、二重の増税は不可避なのか・

 震災復興を確実に進めるには、増税したほうがよい。また、新たな経済成長を実現していくには、社会保障の強化とそれを支える強い財政が求められる。ただし増税は消費税だけに偏らず、所得税などとのバランスをとるべきだ。
 復興の財源を考えるにあたっては、戦前の失敗を教訓にしなければならない。関東大震災の復興事業の財源を全額、国債発行でまかなおうとしたため、高金利の外債発行を余儀なくされたり、事業規模の縮小に追い込まれたり、それがデフレの深刻化を招いた。
 円高で長期金利も低いから、当面は国債に頼ってもいいという見方もできなくはない。だが、世界市場の投機的な動きや不安定さを考えると、見通しは立ちにくい。だから復興には、増税を見合わせたい。
 東西ドイツ統一時に東ドイツの財政支援のためにつくった「連帯税」は、所得税と法人税の税率を引き上げた。被災地の負担増を招かない為にも、そうした直接税の増税で復興財源をまかなうことが妥当だ。

'11.10.12. 朝日新聞・東京大名誉教授・神野直彦氏
 

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