散歩道<4612>

                           私の視点・米国の景気失速・脱出
                                  
再生のヒントは日本に(2)
                           (1)〜(2)続く

 日本経済の長期低迷の理由として過剰債務(不良債権)処理の遅れ、不十分な金融緩和、人口減少、厳しい規制、市場開放の遅れ、成長戦略の不在などが挙げるられてきた。
 それらの指摘は間違ってはいないが、この20年間、長期低迷に向き合ってきたエコノミストとしては、その真因は別の所にあるような気がしてならない。
 一言でいえば、日本が「フロンティアへの挑戦心」という経済成長の原動力を失ってしまったことだ。それは長期低迷の過程そのものがもたらしたものだ。すなわち既得権益の保護と新陳代謝の遅れ、企業の余剰積み上げと投資・雇用・賃金の抑制、金融機関の体力低下、財政赤字拡大に伴う教育や研究開発向け支出の縮小、そして何より若年層への負担の押し付け(雇用機会の劣化、社会保障負担増など)と将来不安の増大が日本の成長力をそいできた。
 アメリカ経済は、日本と同じような停滞スパイルをなぞり始めているようにみえる。だとすれば、日本が長期停滞の真因を正しく認識しつつ脱出の道筋を示して速やかに実行し、経済再生を果たすことが、お互いの大きな利益になるはずだ。それは欧州や新興国にとっても、バブル克服や経済再生のモデルとなりうる。アメリカは経済の長期停滞からの脱出と再生のヒントは日本が握っている。


'11.10.10.朝日新聞・みずほ総合研究所副理事・杉浦 哲郎氏

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