散歩道<4611>

                           私の視点・米国の景気失速・脱出
                                  
再生のヒントは日本に(1)
                           (1)〜(2)続く

 アメリカ経済の動揺が続いている。雇用回復の遅れや欧州財政危機などを背景に、景気が二番底に陥る懸念が高まりつつある。債務不履行(デフォルト)は回避されたが、財政赤字削減を巡る激しい政治対立により、米国債のさらなる格下げも否定できない。
 米連邦準備制度理事会(FRB)はゼロ金利政策を維持すると共に、長期金利をさらに引き下げる措置をとっている。しかし、それが景気回復を促すと考える向きは少ない。景気を刺激するための財政出動も、政治対立を考えれば容易ではない。
 アメリカ経済の行き詰まりは。バブル期に積みあがった過大な民間債務(アメリカは家計、日本は企業)を削減する過程で投資や消費は抑制され、金融システムは脆弱
(ぜいじゃく)化した。財政支出拡大やゼロ金利・量的緩和政策も、成長力を高められなかった。
 しかし、かって日本の「失われた10年」を無能力のせいと批判したアメリカが、日本と同じ道をたどっているからといって、溜飲を下げている場合ではない。日本は今なを停滞から抜け出せず、その道筋も示せていないからだ。

'11.10.10.朝日新聞・みずほ総合研究所副理事・杉浦 哲郎氏

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