散歩道<4586>
組織の読み筋 カリスマ退場
残すべき「資産」は社外にも(2) (1)〜(4)続く
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カリスマの喪失は会社にとって危機的であるから、またそのことがカリスマ自身にも痛いほど分かっているから、本人もどうにかして自分の力量を次の時代に残こそうと努力する。しかし、その力を社内に継承するのは極めて難しい。
そもそもカリスマ創業社長の典型例は、次々とアイデアを生み出し、時代の先端を一歩先を読んで、人が欲しがるものを先取りする能力を発揮する人であろう。凡人には備わっていない予見力とアイデアで周囲の人々を惹きつけるのである。
創業経営者達の多くは、この種の力量をもってスタートを切り、その後、どれほど大きな企業に成長しても、最後まで商品の細分にこだわり、事業成功の原動力として働き続ける。マーケッティングの能力なのか、技術力なのかは分からないが、時代を先取りしてアイデアを生み出す力量が、その人の在任中・存命中は企業を成長させていく。
この「時代の一歩先を読む力量」を企業が永続化するのは本当に難しい。一歩先を読めないまでも、半歩先を読めるような後継者を育成しようとしたり、あるいはカリスマの力量を組織で置き換えようとしたり、という試みは多く見られる。後継者育成の大規模教育プログラムを用意し、開発センターやデザインセンターなどの組織を設立するのだ。しかし、その試みが期待通りの成果をあげることは残念ながら多くはない。
なぜなら、そもそもそのようなアイデアを生み出せる理由を、カリスマ本人が理解していないからだ。天才は自覚的に天才になっているのではなく、自然に天才として生きている。自分の発想力のメカニズムが解明できなければ、それを組織に落とし込んだり、後継者に体系的に教えたりすることは不可能である。
'11.10.21.朝日新聞 ・一橋大・教授・*1沼上 幹氏
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