散歩道<4566>
経済気象台(682)・大軍に関所無し
米信用格付けS&P社が米国債を最高位(トリプルA)から1段格下げたのに続いて、ムーディーズ社が日本国債の格付けを中国と同じ4位に格下げした。
素人目には日本の国債がイタリアやスペインよりも格が下とは思えないし、その理由として首相が頻繁に交代したことが財政再建の妨げになった、と指摘しているのも、”内政干渉”的に聞こえる。
格付けは将来の予測だとされ、これではどのような予見でも書ける危険がある。格付け企業の収益は格付けを依頼した側が支払うサービス料だ。さじ加減はないだろうか。
世界金融市場ではムーディーズ、S&P、フィッチの3社が格付けの80%を支配、証券の発行に大きな影響力を行使する。これらの格付け会社は危険度の高いサブプライムローン(低信用住宅融資)関連の証券をトリプルAと格付けして、リーマン・ショックの引き金となったと批判され、米議会は規制や、監視を強化するようになった。
ワシントンの友人は、米国債の首位転落発表は格付け企業がその権威を見せつける意趣返しか、と勘ぐる。オバマ米大統領は「米経済は依然トリプルAだ」と反論、議会もこの発表に作為はないか、調査を始めた。欧州連合(EU)の高官も投機的とされたポルトガル国債格付けに抗議した。
格付け発表で国際金融市場は為替相場や株価が乱高下し、国家信用が左右される。極論すれば国を滅ぼすには武力ではなく「大軍に関所無し」にも似た瞬時に国境を越える情報次第という時代になった。
信用が落ちてもまた新顔の野田首相の登場となる日本。逆説的だが、ムーディーズの判断は的確か?