散歩道<4550>

                         経済気象台(671)・メール夫婦

 1985年、NTTは通話促進のために、帰宅時間を自宅に伝える「カエルコール」キャンペーンを展開した。帰宅時刻を電話で連絡する習慣がまだ一般化されていなかった時代、夫婦間に夕方のホットラインを誕生させた。
 「今、日本の夫婦をつなぐものは何か」について民間の研究所が一昨年、調査している。夫婦間のコミュニケーションの手段として80%が電話と答え、次いでこれに匹敵する73%がメールを挙げた。メールは電波さえ届けば、会話を人に聞かれることはない。この使い勝手のよさが年齢を超えて支持されている。
 さらに、メールを利用している夫婦のうち、62%が「絵文字」を使っていた。50代の女性でも6割が絵文字を用いていた。この年代の夫婦が絵文字を使っている様子を思い浮かべると、何ともほほ笑ましい。メールの内容は、「帰宅時間」「買いものなどのお願い」「食事の有無」が上位を占めた。
 そんな夫婦のホットラインは3・11の東日本大震災によって、その重要さが再認識された。被災地から離れた首都圏でも一時、電話やメールが切断され、これが一人でいることの寂しさや不安につながった。「震災婚」という言葉が出来たように、夫婦の価値が高まった。節電対策の影響もあり、夫の帰宅も早くなって平日も休日も家族で集まることが増えたという話もよく聞く。
 飲み会やゴルフなど会社の付け合いを優先してきたのが日本社会だ。欧州では外食や娯楽など家庭や地域が消費の中心になっている。日本もそのまま欧州型消費に向うのか。定着しつつある夫婦間のメールコミュニケーションがこの流れを加速させそうだ。

'11.8.4.・朝日新聞 

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