散歩道<4549> '
経済気象台(670)・槍持ち槍を使わず
このところ先進国による対中国戦略は「槍持ち槍を使わず」でからめ手からの寄せが目立つ。
7月5日に就任した国際通貨基金(IMF)のラガルト新専務理事(仏出身)、特別顧問は朱民氏を中国人として初めて副専務理事に起用すると発表した。朱民氏の昇任は国際金融面での中国の発言力を向上させると同時に国際協調の責任を負うことになり、直接的な人民元の切り上げ圧力よりも”粋”な対処だ。
オバマ米大統領は16日、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世とホワイトハウスで会談したが、大統領は中国との直接対話を勧める一方、チベットの独立不支持の方針も明確にした。中国の会談中止要求を振り切っての話し合いだが、自治、民主化、人権問題などの側面から中国の覇権主義に釘を刺した形だ。
ワシントンの友人は、やはり問題は「共産中国とどう向き合うか」だという。中国は1日、共産党創立90周年の式典を開いた。胡錦涛国家主席は世界第2の経済大国になったのは共産党の功績だとして、中国的社会主義建設を続けてゆくと明言した。
米国内では、中国の政治的、経済的躍進は覇権主義の挑戦と受け止めて、それを台湾武器輸出など軍事的圧力やあるいは対中輸入制限などで押さえ込もうとする封じ込め派も根強い。そこで、協調路線で世界秩序に引き入れ、中国の経済発展と共栄しようとする国際的実利主義派との綱引きで対中政策が左右に揺れる。
大統領選が近づけば、対中圧力派が強気に出る。中国は1兆2千億jの米国債を保有している。米国の相克は、実は政治体制の違う中国が、世界一の対米債権国だという現実である。