散歩道<4548>     

                              経済気象台(669)株主と向き合う総会

 最近の、株主総会が変わってきたという。今年は10年ぶりにある会社の総会に出席してみた。入場すると、壇上前は社員株主とおぼしき人たちが座席を占めていた。昔ながらの光景だが、一般株主を排する威圧的な雰囲気はなかった。
 今年初めて議長をつとめる社長が、事業報告や取り組むべき課題について淡々と説明する。下を向く時間が長く、会場に目を向けることが少ない。リーダーたる社長がどんな人か、その姿、所作に関心がある。これはいただけない。
 会場からの質問は多義にわたった。経営方針、技術戦略、資金調達、女性の活用など専門性の高いものから常識的なものまで幅広かった。また、意味が不明だったり、重複したりする質問もあった。
 議長は質問に対し、スタッフからさし出されたメモを見ながら回答し、あるいは担当役員に回答させ、次々とまとめていった。この一連の流れはスムースで、自信と周到な準備を感じさせた。
 議長は質問がある限り受け続け、生真面目に答えようとする姿勢があった。沈着冷静な回答振りで、最後の質問者は「この会社と社長は信頼できる。株を持ち続けたい」と発言したのが印象的だった。
 株主総会の在り方については、まだまだ改善の余地がある。だが、これまでの短時間の形骸化したものから、経営者が時間をかけて株主に説明責任を果たそうとする総会に変化したことを感じた。
 企業は社会環境の変化に対応し、着実に自己変革している。一方で、行政や政治はどうか。無謬
(むびゅう)神話が足かせとなり変化できないでいる。企業が株主と向き合うように、行政・政治も国民を向き、その声に耳を傾ける時ではないか。

'11.7.20.・朝日新聞 

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