散歩道<4546>
経済気象台(667)・増税と歳出削減のバランス
財政危機に対する日米政府の対応に大きな違いが見られる。米国での議論には、日本にも参考になる部分がある。
政府債務がGDPの200%に接近する日本でも、東日本大震災の復興のために、第3次補正予算まで検討され、追加支出額は10
兆円を優に超えそうだ。これに対して、政府内には消費税など、増税で財源手当てをする考えたかと、野党や超党派の「デフレ脱却議連」などには復興国際を発行し、それを日銀に買わせ、「日本版QE2」でインフレに誘導し、債務を軽減する考え方とがある。
一方米国では、これまで大規模な財政赤字について、金融当局が国債を買い上げる形で賄ってきたが、インフレをばらまいたとして批判され、いわゆるQE2(量的緩和第2弾)も6月末で休止を余儀なくされた。代わって財政赤字を減らす方法として、民主党からは増税と歳出削減の組み合わせが提言され、共和党は専ら歳出削減を求める。
これに対し、全米経済研究所(NBER)は景気に悪影響を及ぼさない歳出削減法として、増税1jに対して、歳出削減を5ないし6jとする組み合わせがベストとの研究成果を示した。増税の割合が高まるとそれだけ景気後退のリスクが高まると言う。
日本ではこの歳出削減論議が欠如し、増税かQE2論に傾斜している。QE2論を採用した場合、インフレは増税と同じ機能がある。家計から政府へ強制的に所得を移転し、貯蓄の目減りで老後の不安を高める。
日本の場合、特別会計からの資金拠出や歳出削減の余地が大きい。NBERの研究に倣い、増税を最小限に止め、復興以外の所で歳出削減を検討してはどうか。
'11.6.30.・朝日新聞
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