散歩道<4542>
                            
                                風・ブータンからGNPよりも 
                                  
誰もが幸せ 感じられるように(2)                      (1)〜(3)続く

 背景の一端には、右肩上がりを目指す成長戦略の行き詰まりがあるだろう。成熟社会とされる欧米や日本では貧富の差の拡大や無縁社会といった現象が広がる。中印など成長著しい新興国でも、経済発展が貧困や環境破壊など社会の抱える問題の特効薬ではないことは明らかだ。大震災をきっかけに日本に芽生える、経済成長優先の価値観を見直す動きとも共鳴する。
 ブータンでは6年前の国勢調査で国民の97%が「幸せ」と答えたという。本当だろうか。パロの農家を訪ねた。
 シャリダムジ村のオーム(44)さんは、夫(57)と夫の母、子供4人の7人家族。3・6fの田畑で、コメの他、カボチャや大根、唐辛子などを作る。インドで暮らす長女はよく帰省し、家族団らんの機会を持つ。今はとても幸せという。
 「昔は学校も診療所も近所になかった、教育も医療も無料。電気も通じ、車もある。これ以上、何が必要ですか」
 「最近、最も悲しかったことは」とたずねたところ、去年の収穫期に雨にたたられ、不作となったことを挙げた。力になってくれたのが、近所の人だった。「次々にやってきて慰めの言葉をかけ、コメを分ける約束をしてくれた」
 
'11.10.3.朝日新聞・アジア総局長・藤谷 健氏

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