散歩道<4541>
風・ブータンから・GNPよりも
誰もが幸せ 感じられるように(1) (1)〜(3)続く
飛行機は山を縫うように高度を下げていった。山肌が窓の横に迫り、ひじ掛けを握る手に力が入る。機体は揺れながら、滑走路のある谷底に滑り込んだ。標高2300b、ヒマラヤの王国ブータンの玄関口、パロに着いた。
空港のすぐ近くに農地が広がる。谷を吹き抜ける心地よい風が穂の垂れた稲を揺らす。どこかで見た風景だ。そう、日本と変わらない。
以前からこの国を訪ねたいと思っていた。「国民総幸福」という開発理念に関心があったからだ。Gross
National Happinessの頭文字からGNHと呼ばれ、社会の発展は物質的な豊かさの追求だけでなく、精神的な豊かさや国民の幸せの実現が不可欠だとする。国民総生産(GNP)に代わる概念として、約40年前に当時の国王が提唱した。
いまGNHに再び注目が集まる。国連総会は7月、幸福を経済社会開発の目標とするとの決議を採択。米コロンビア大の著名な経済学者、ジェフリー・サックス氏もGNHに基ずくブータンの開発政策を評価する論考を発表した。
'11.10.3.朝日新聞・アジア総局長・藤谷 健氏
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