散歩道<4531>
時事小言・戦争に踏み切るとき(1) (1)〜(4)続く
見つからない綺麗な答え
国際政治の研究者として最も難しい選択が、戦争の是非の判断だ。政治家でないのだから、開戦を決める権限も責任もない。状況を左右する力を持たないのに開戦を論じるのは滑稽な思い上がりだ。だが、わかっていても、気にかかるのはどうしようもない。開戦の評価は、戦争の回避を希求しながら状況によっては武力行使が必要なことも自覚するという、国際政治学の本質的な矛盾を突く選択だからだ。
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2003年のイラク戦争では、戦争が間違いであると開戦前から確信していた。制空権さえ多国籍軍に奪われたフセイン政権を国際社会への脅威とするのは乱暴だった。独裁体制には違いないが権力は破綻(はたん)していない。独裁を高揚する状況もない。開戦に踏み切れば多くの犠牲を生む一方、アメリカが国際紛争に対して持つ抑止力を弱め、国際関係は不安定を増すだろう。要らない戦争をしてはいけない。アメリカは国を誤るという懸念からこの戦争について書き続けた。
'11.9.21.朝日新聞・東京大学・国際政治学者・藤原 帰一氏
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