散歩道<.4529>
終わりと始まり・「ツー・オブ・ライフ」を見る(2)
宇宙誌と霊の世界 (1)〜(3)
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先に彼らは普通の家族の代表だと書いたが、それは人間の代表、ヒトの代表という意味でもある。スクーリンは世界の創世からこの子供たちの誕生に至るまで、宇宙誌をさまざまな自然科学の画像で見せる。天文学と地史と生物学から提供された美しい画像の数々を経て生まれたての赤ん坊の足に行き着くところは感動を誘う。これは存在の大いなる肯定である。
もう一つの逸脱は霊の世界へ、あるいは生きてあることの意味ずけの方へと向うものだ。
この家族の物語を中年になった長男(ション・ペン)が振り返る。彼の心の中に残った幼い時の自分の視点が実はこの映画の主要部分を成している。その中で少年である彼はしばしば神に話しかける。何かを願うのではないから祈りではない。あなたは誰なのか、何なのかと執拗(しつよう)に問いかける。彼の母もまた同じことを問うていた。
彼は長じて建築家として成功し、高層ビルの中を忙しげに行き来している。しかしその表情はうつろだ。
'11.9.7.朝日新聞・作家・池澤 夏樹氏
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