散歩道<4519>
美の季想・マスターピースと「名物」(2) (1)〜(3)続く
日本の傑作 根底に「観賞の美学」
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だが日本では、いささか事情が違う。美術に関して、「傑作」という言葉は、明治以降になってようやく使われるようになったもので、江戸時代以前に用いられていたという形跡はないようである。では日本人は、優れた芸術作品をなんと呼んでいたのだろうか。絵画については、「名画」という言い方が古くから日本にも中国にもあり、「名品」という言葉もあった。「名物」は、もっぱら茶の湯の道具にかかわるものだが、優れた作品という視点が明確なので「マスターピース」に対応する言葉といってよいであろう。西欧言語を対象とした日本では早い時期の辞書である『日葡辞書』(1603年)でも、「名物」の項に「卓越したもの」という意味のポルトガル語をあてている。
'11.9.1.朝日新聞・美術史家・美術評論家・高階 秀爾氏
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