散歩道<4512>

                            社説・風・暴動に走った若者(3)                        (1)〜(3)続く
                                
監視カメラに映らない現実


 親の失業やアルコール中毒で家庭が崩壊。麻薬売人の使い走りなどで日銭を稼ぎ、路上で寝起きする・・・・。そんな極限の貧困で育つ子供が少なくない。暴力がはびこる環境で、生き延びることだけに神経をすり減らす。「努力すれば未来が開ける」と実感できる人は周囲にはいない。「誰も自分に関心はない。どうせ自分に価値はない。そんな意識が芯から染みついている」。彼らが暴動に走るのを「驚かない」とカミラさんはいう。
 たしかに一部の模倣犯を除いて、暴動に加わった大半が25歳以下の無職層。なかでも11〜17歳の少年が多い。
 それでもひと昔前はコミュニテーィ(地域社会)というい居場所があった。知り合いが経営する店や将来自分が働くかもしれない店であれば、略奪の手も鈍かっただろう。だが若者のエネルギーを発散させた地域のスポーツ活動は予算削減で次々と姿を消し、商店街は大手チェーンばかり。社会との絆を失った子供たちにギャングが忍び寄る。少なくとも彼らは自分たちの存在を認めてくれる。
 英国でも安全網を担ってきた「公」が縮み、アンダークラスと呼ばれる若者の貧困層が膨らむ。活動を始めた15年前よりも状況は悪くなったという。「社会が子供を粗末に扱ってきた代償です」。深まる経済危機と、暴動で若者へのネガティブなイメージがさらに強まらないか心配だ。
 監視カメラを張り巡らしても暴動は防げなかった。生々しい映像でかえって見えにくくなった現実もある。映像の威力は、時には落とし穴になる。

'11.9.5.朝日新聞・ヨーロッパ総局長・*1沢村 瓦さん

関連記事:散歩道<検>氏名・*1沢村 瓦4321、<検>外国、<検>若者、<4462>ー下段、大資本の影響は、日本の地方の中小企業の勢いを削いでいるのは全く同じである、日本全国がそのような状況にあるように思う