散歩道<4496>
クルグマン・コラム・米国債の格下げ(1) (1)〜(3)続く
問題は算術ではなく政治にある
米国の格付け会社スタンダード・アンド・ファーズ(S&P)が米国債を格下げしたことをめぐるドタバタを理解するには、一見矛盾する(でも、実際は必ずしも矛盾するわけでもない)二つの考えを頭に入れておかかければならない。
一つ目は、米国はもはやかってのような安定した、信頼出来る国ではないということである。二つ目は、S&P自体が米国以上に信頼できないということだ。わが国の見通しについての判断を頼るのに、S&Pは最もふさわしくないのだ。
S&Pが信頼性にかけていることから話を始めよう。この格付け会社の米国債格下げの判断を最もうまく表現する言葉があるならば、それは「chutzupah(厚顔無恥)」である。伝承によれば、若い男が両親を殺害し、自分は孤児だからと恩赦を懇願した話で説明された言葉だ。
米国の大規模な財政赤字は、主に2008年の金融危機に続く経済危機によってもたされたものだ。S&Pは同業他社とともに、あの危機を引き起こすのに主要な役割りを演じた。不動産担保証券に最上級の「トリプルA」の格付けを与えたが、それは後に有毒ゴミ化してしまった。誤った判断はこれにとどまらなかった。悪名高い話だが、S&Pは、破綻して世界規模の混乱を引き起こしたリーマン・ブラザーズに対し、会社が消滅するまさにその月に(上から6番目の)「A」の格付けを与えた。格付Aの会社はどう反応したか?「何も悪いことはしていない」とするリポートを出したのだ。
'11.8.11.朝日新聞・米プリンストン大教授・パウル・クルグマン氏
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