散歩道<4492>

                   社説・本社「ニッポン前へ委員会」提言土地所有見直しを(2)                       (1)〜(3)続く
                           定期借地権・被災者は現金使わず内陸に宅地

 ほとんどの津波被災地は、町や集落の再建先がまだ不明確だ。
 「今度こそ津波の来ない場所に」という多くの被災住民の思いは、「土地所有権」という壁に突き当たっている。
 第一に、移転先の土地確保が難しい。特に三陸地方では、内陸部の平地や緩傾斜地はすでに農地や宅地に虫食い状に利用されている。過疎化により相続人が半ば放置している物件も多い。
 第二に、海沿いの被災地の扱が難しい。国の買収を望む声もあるが、波をかぶった土地の評価は低く、売っても移転先の土地取得資金には遠く及ばない。
 いまのところ国は、被災と地・内陸土地の双方に区画整理をかけ、換地や街路整備を行う方針のようだ。しかし、区画整理は莫大な公費と数十年を要する。 となれば結局、自宅や施設を津波に襲われた元の場所に再建する動きが広がりかねない。それでいいのだろうか。
 方策はある。「土地所有者が使うもの」という先入観を廃止、津波被災地の復興という明確な目的を前提として、契約期限が明確化されており、土地所有者の権利保護が厚い「定期借地権」を全面導入するのだ。まず自治体が被災土地と内陸土地の双方を広範に定期借地する。所有者不明の土地も暫定的に賃借し、賃料は供託する。賃料は復興の歩みに応じて上げていくものとし、固定資産税と同額からスタートすればいいだろう。
 
'11.8.8.朝日新聞・代表・大阪大教授・大竹文雄氏、日本政策投資銀行参事役・藻谷浩介氏

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