散歩道<4482>
オピニオン・ 政治時評2011・被災地の希望を、どうよみがえらせるのか
若者・女性「つながり」期待(5) (1)〜(6)続く
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宇野 具体的な復興計画には、住民の意思を反映することが求められますが、すでに対立の芽もあるようです。
玄田 復興を巡って被災地内では利害、立場の違いによるヒリヒリするような緊張関係が続くでしょう。そこで問われるのは、希望学的に言えば「希望」を共有できるかということ。そのために、住民が意思決定する材料となる情報が必要です。どういう情報が求められているか、想像力を働かせ、押し付けにならないように提供する。政治にはそうした役割りが期待されます。
宇野 問題は今の政治にそれができるか。地域の声を自治体につなぐ地方議員、議会が十分に役割りを果たしているか、疑問です。かって政治は人と人とのつながりを前提にしていました。しかし現在はつながりが希薄で、個人の意見が政治に伝わらない。人と人、人々と政治のつながりが分断されています。その回路をもう一回つながないと政治が持たない。逆に言えば、政治を立ち直らせるため、新たなつながりを生み出さなくてはいけません。
玄田 自治体にも課題があります。普段から学校と緊密に連携していたり、町内会の活動が活発だったりした自治体は避難所もうまく運営できたが。そうでない自治体は相当苦労した。震災後の厳しい環境のもと、地方議員や自治体職員がこれまでの姿勢を省みて何ができるか気付くと信じたい。特に若い人に期待したいです。取材に来た英メディアの記者に「英国では政党の党首が40代になった。日本はなぜ若い政治家が出ないんだ」と言われたが、地方では若い政治家が育ち始めているんじゃないか。被災地でも若い人にもっと立ち上がってほしい。きっとそうなります。
宇野 同感です。被災地の復旧や復興で活動しているNPOなどの若い人たちで、ゆくゆくは政治家になる人たちが出てきてもおかしくないですよね。新たな人材供給源になればと思います。
玄田 それと期待するのは女性。東北人は困難があれば、家族や地域の力で克服しようという意識が強い。社会学でいう「強い絆」に頼る。これだと、どうしてもこれまで社会の中核だった年配の男性が中心になる。復興ではむしろ「穏かな絆」が大事なんです。そこには若い人や女性も入ってくる。家族や集落だけで何とかしようとしなくていい。違う情報をもった人達と穏かにつながることで、新たな希望のヒントを得られるかもしれません。そういえば構想会議の提言のキーワードも「つなぐ」でした。
'11.7.23.朝日新聞 対談・希望学提唱者・東大教授・玄田 有史氏、ホスト東大教授・宇野 重規氏、
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