散歩道<4476>

                                 私の視点・ドイツの脱原発                                (1)〜(3)続く
                                    
熟議を経た民意が支える決断(3)

 自国の電源構成は、各国が決定する事項である。しかし、国境を超えて広がるリスクは多数ある。それゆえ、欧州共通のストレステスト実施により、原発の安全生が確実かつ比較可能な形で確認できるのは望ましいことだ。また、国際原子力機関(IAEA)などの国際機関でもできるだけ高い安全基準を設けて、最大の安全確保を図っていくことが共通の目標とされなければならない。スリーマイル島、チェルノブイリ、フクシマのような大事故が繰り返されてはならないのである。
 私たちの目標を達成するには、欧州の域内市場統合をエネルギー分野についても完成させる必要がある。具体的には、省エネ、消費者のメリットとなるエネルギー市場の統合・競争の強化、インフラの整備拡充による安定供給の確保、エネルギー資源の供給元・供給ルートの多様化などだ。また「エネルギー供給源」として省エネの重要性は極めて大きい。EUと各加盟国によるエネルギー政策の取り組みは、相互補完的に進められるべきである。

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 私も外務大臣として、地球規模の再生可能エネルギーの普及拡大により生まれるチャンスを、国際的に協力して利用できるよう力を尽くしていく。私たちは、太陽熱、風力、太陽光などのクリーンな電力を砂漠地帯で発電し、世界各地の先進国に送電するという「デザーテック」構想の実現を支援している。ついこの間まで、夢物語、あるいは資金的にめどが全くつかないと思われていた構想が、今や技術的にも経済性の面でも実現可能、あるいは実現まであと一息となっている。
 ドイツはエネルギーシフトを加速し、技術、構想の両面で進み始めた道を今後も継続して歩んでいくことなる。エネルギーシフトは、私たちの経済力、環境、近隣諸国に悪影響をもたらすことなく、効率性、持続可能性経済性、安全性を兼ね備えた21世紀のエネルギー経済への扉を開くものだ。そこから生まれるチャンスをともに活用するための建設的かつ緊密な協力を、私たちのパートナーの国々に呼びかけたい。


'11.7.23.朝日新聞・独外相・ギド・ベスターベレ

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