散歩道<4475>

                                 私の視点・ドイツの脱原発                                (1)〜(3)続く
                                    
熟議を経た民意が支える決断(2)

 フクシマの悲劇により、原子力リスクの再評価が必要となり、エネルギーシフトの加速につながった。だが再生可能エネルギー利用を推し進め、原子力利用を修了しようという基本的な決定はフクシマ以前になされていた。この方針は、温暖化防止に向けた取り組みとも軌を一にするものである。政府が昨年10月に決めた再生可能エネルギー普及目標も、さらに前倒しして達成していくこととなった。
 ドイツにおけるエネルギーシフトの加速を、近隣諸国、友好国などは大きな関心をもって注視している。ただ一つはっきりしているのは、ドイツが今回掲げた目標は、熟議を経た上で決められたものであり、野心的ではあるが現実的でもあるということだ。安定供給、負担可能な価格、温暖化防止や環境への配慮という全ての目標について、責任をもって達成に向け対処していく。ドイツが保有する全原発17基の発電量は、今年3月までは電力需要の22%を占めていた。そのうち一時停止していた8基がそのまま閉鎖され、残る9基の発電量は総需要の約15%に相当する。再生可能エネルギー発電の用量拡大やシステムマネジメントの改善、省エネ率の向上などが補っている。当面は、火力発電が過度期のつなぎ役として必要だ。しかし私たちの温暖化防止目標に変更はない。つまり、欧州連合(EU)全体として20年までにCO
2を20%以上削減し、ドイツ一国としては40%削減するというものだ。ドイツの総電力量の17%は再生可能エネルギーによる電力だ。この割合を、20年までに35%に拡大し、30年までには50%とする。つまりエネルギーシフトによって他への依存度を高めるということではない。エネルギー供給を確保するため、これまで以上に送電網拡充、再生可能エネルギー普及拡大、省エネ促進の3大分野への投資を強化する。


'11.7.23.朝日新聞・独外相・ギド・ベスターベレ氏

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