散歩道<4469>    
  

                          オピニオン・インタビユー知識人とは  
                       批判力と構想力二つの軸を持て論理まだ足りない (3)                 (1)〜(5)続く

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・・・構想力が不足しているのは、日本だけなのでしょうか。
 「それは非常に大きな問題ですね。たとえば、今日の世界で代表的な政治家と言ったら、だれを思い浮かべますか。一時期はオバマ米大統領だったでしょうが、今やその輝きはありません。しかし、それは単に政治家の力量が足りないのではなく、いま世界全体で構造的な変化が生じていて、国家とか市場という20世紀の枠組みでは捉えきれない問題が起きているからです。しかし、新しい発想や構想はまだ模索中なのが実情です。新しいビジョンがなければ、優れた指導者も出ない。こうした時代の政治家は気の毒ですが、みんな小者に見えてしまう」
・・・20世紀から21世紀にかけての世界の構造変容をもうすこし説明して下さい。
 「国家はなくなるわけではありませんが、経済や金融、科学技術、情報が非可逆的にグローバル化する時代には、国境の意味は低下し、国家は脱力化して来ています。市場も格差や抑圧の構造を生み出し、グローバルな不平等や不公正を解決できていません。国家や市場では対処できない世界に成っている」
・・・でも、依然として大国化を志向する動きもあります。
 「確かに中国やインドは、20世紀型の大国志向を強めています。果たしてそれがつづけられるのか、資源・環境問題ひとつとっても私には疑問です。中国には外国の介入で国を分割された歴史への警戒感があるのでしょう。しかし、チベット、ウイグル、内モンゴルなどに対するやり方は、漢民族中心の支配の域を出ていません。それに中国の指導者は、抵抗や暴動が起きても、それが何を意味するのか、中国民主化という不可避の未来を読む力が弱い。21世紀は、文化的多様性と社会的公正さが、どこでも求められる世界です」

'11.7.20.朝日新聞・国際政治学者・坂本義和さん


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