散歩道<4435>
耕論・オピニオン・メディアと権力(4) (1)〜(4)続く
大統領はしばしばウソをつく
○ 真実追う難しさ
いまはインターネットなどの情報通信技術が発達したことで、これまでになくニュースが増え、人々が様々な事実に触れ、取捨選択が出来るようになった。それ自体は良いことだと思う。特に最近のウィキリークスは人々の目を開かさせるものだった。外交官達の襟を正せることにもなる。私は肯定的に捉えている。
一方で、*1パソコンや携帯電話さえあれば、誰もが情報発信することが出来るように成った。つまり誰もがジャーナリストになり得る時代になった。言い換えれば、大量に発信される情報の洪水の中で、公平性や客観性が担保されなくなり、何が真実かを見極めるのが非常に難しい時代になったといえる。
一本の記事が人を傷つけることもあるし、人の評価を台無しにすることもある。60年代にゴシップをかき集めたタブロイド紙が人気を博した時代があった。いまはその時代よりさらにたがが外れてしまった状態だ。記者は信頼される存在でなければならない。そうでななけば、人々は何を信じていいのかわからなくなる。だからこそ、真実を追究し、人の名誉を傷つけず、いたずらにゴシップを追い求めない、といった報道の倫理を学び、訓練を受ける必要がある。誰もがジャーナリストになれること、それが言論の自由と考えられる時代になった。しかし、自由には責任が伴い、報道の倫理を知らなければ大きな代償を払うことになる。
いまジャーナリストは重大な技路に差し掛かっている。情報技術革新に圧倒され、新たな時代の解決策は見いだせていない。そしてジャーナリストはいま、真実とは何なのかを見いだすことが極めて難しい、情報の無法地帯にいる。
'11.6.23.朝日新聞・元ホワイトハウス担当記者・ヘレン・トーマスさん
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